VOL.007 アーユルヴェーダと消化力と生命力

VOL.007 アーユルヴェーダと消化力と生命力

HEALTH - 女性とアーユルヴェーダ

「体内時計」という言葉を聞いたことがありますか?アーユルヴェーダでは、自分の体内だけでなく、自分自身のリズムを宇宙に合わせることで体調が整うといわれています。手軽に始められる宇宙との調和方法を、鍼灸師あん摩マッサージ師、アーユルヴェーダセラピストの小川ゆり先生に教えていただきました。

体の変化と宇宙のリズムの法則

 

最近、「体内時計」という言葉が注目されています。人間のすべての細胞は「時計遺伝子」によって時を刻んでいて、これによって人間は一日単位で血圧・体温・ホルモン分泌などの生理的活動の変化が起こるといわれます。毎日、お昼になるとお腹が空いたり夜になると眠くなったりするのは体内時計の働きです。アーユルヴェーダや東洋医学では、太陽や月の動きに伴ったエネルギーの変化を時間と捉えていたようです。日が昇って血液が身体の外側を巡ることで身体は活発に動くことができ、日が沈むころになると血液は身体の内側を巡るようになるので眠たくなります。そうして起こる身体の変化を観察することで宇宙のリズムの法則を見出してきたのです。

 

 

 

アーユルヴェーダにおける体内時計の考え方

 

アーユルヴェーダや東洋医学において、規則性のある生活をすることは「自分の身体を宇宙のリズムと同調させるため」と考えます。食事・睡眠などのタイミングを自然や宇宙と同調したリズムにすることで、エネルギーを効率よく使うことができるため身体はとても活動しやすくなります。しかし、食事や睡眠の時間が不規則に乱れると、リズムに不調和が起こり、生活習慣病や不眠、自律神経の乱れなどさまざまな不調の引き金となってしまうのです。

 

 

 

食事から身体を宇宙に同調させる

 

アーユルヴェーダでは、太陽の動きによって消化力が変化すると考えます。太陽の位置が高くなる昼には消化力も高くなり、朝・夕のように低くなると消化力も低くなります。食事の量も質も昼はしっかり食べても良いですが、朝・夕では少なめで消化の良いものを心掛ける必要があります。また、季節の変化によって人間の身体も変化します。

 

古代中国では、効率的に農耕を行うために自然界の移り変わりをあらかじめ予測する方法として暦が作られました。その代表的なものが二十四節気といい、太陽の動きを二十四に分割して一年とし、昼の長さ(陽のエネルギー)と夜の長さ(陰のエネルギー)の変化を表すものです。春分や夏至などは二十四節気の区分の名称で、現代でも使われています。古代インドでは冬至から夏至までを太陽が北へ向かう「明るい道」といい、夏至から冬至までは太陽が南へ向かう「暗い道」と捉え、陰陽の変化を説いています。

 

日の出・日の入り時刻は季節によって変化しますから、それに合わせて入眠・起床の時間や生活リズムを変化させる、といった対策も大切です。

 

 

 

そして、「その土地で採れた、旬の食べ物を摂る」ことでも、自身のリズムを整えることができます。これは、太陽と月のエネルギー・宇宙のリズムと同調して育った食べ物を取り込んで、エネルギーをもらうという考え方です。

ハウス栽培で育てられたものや気候の全く違う国で採れたものも良いですが、より自然なもののほうが身体にとってはごちそうとなるのです。

 

 

 

エネルギーとは「氣」のことである

 

その土地で採れた、旬の食べ物に含まれる「エネルギー」とは一体なんでしょうか。

 

それは、日本語では「気」や「氣」と表現されるものです。

 

「氣」は、「気」の旧字として知られていますが、「生命の根源、無限のエネルギー」という意味があり、対して新字の「気」は「有限のエネルギー」という意味があります。

 

「氣」は、アーユルヴェーダにおいて、「オージャス(生命力)」と表現されます。オージャスが満たされていると生命力が溢れ、免疫力があり、元気はつらつとした状態になります。人間は生まれた時に一番多くオージャスを持っています。そして、年を重ねていくにつれてだんだんと減っていくのです。そして、オージャスがなくなってしまうと死んでしまいます。

 

だからこそ、オージャスをたくさん含んだ旬の食べ物を身体に取り入れることでオージャスを補充するのです。また、不規則な生活や質の悪い食事を繰り返すとオージャスはすり減ってしまいます。

 

オージャスを枯渇させずに十分満たした状態にしておくためにも、生活を宇宙のリズムに合わせることが求められるのです。

 

 

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オージャスは炊き立てのお米で増える

 

オージャスの意味である、「氣」には「米」の漢字が入っています。

 

お米は「太陽のエネルギーの塊」であり、炊き立てのご飯にはオージャスがたくさん含まれていると言われています。

 

また、日本の伝統医学である漢方の世界でも、「身体の氣を補う(補気)」ための生薬としても使われています。

 

太陽のエネルギーの塊であるお米は、生命力を増強させるのに非常によい食べ物なのです。

 

米を主食とする日本人はこれまで、その土地で採れた新鮮な野菜や果物と、炊き立てのお米を食べて、宇宙のリズムと自分の身体を同調させてきたのです。

 

 

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宇宙のリズムを意識した生活を

 

現在、「なにを、どれだけ」という考えに「いつ食べるか」というポイントを加えた「時間栄養学」という分野が徐々に普及しています。

 

医療現場においても、薬を「何時に」投与したら高い効果が出せるか、人間のリズムを考慮した研究が着目されつつあります。

 

こうした人間の身体と時間、季節に着目した考え方は、今でこそ科学的に証明されつつありますが、アーユルヴェーダや東洋医学でははるか昔から説かれています。

 

太陽の位置、月の満ち欠けのサイクルや、地球の自転公転などの周期性などによって四季が生じ人間の身体も変化します。

 

この連載では何度かお話ししましたが、私たち人間も宇宙の一部であるため、宇宙の影響を受けないほうが不自然なのです。

 

 

季節ごとの生活リズムや時間の過ごし方を意識して、自身の身体を宇宙のリズムと同調させる生活で、エネルギッシュで健康な身体づくりを目指しましょう。

 

次回は「アーユルヴェーダと歩む」についてお届けします。

 

 

 

【著者紹介】

小川ゆり Ten治療院院長

小川先生お顔写真

 

 

2006年、名古屋鍼灸学校卒業。はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師免許取得後、市内の治療院にて勤務。渡印し、インドのアーユルヴェーダクリニックにて研修を受ける。帰国後、Ten治療院院長。

 

【店舗紹介】
Ten治療院  http://ayur-ten.com/

〒464-0821  名古屋市千種区末盛通4−26 ARK HOUSE 9A

http://ayur-ten.com/

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