「高齢化社会ニッポン」を救う、ドクターが集結! 糖質制限サミット2016

「高齢化社会ニッポン」を救う、ドクターが集結! 糖質制限サミット2016

FOOD - 編集部レポート

6月12日(日)、『「高齢化社会ニッポン」を救う、ドクターが集結! 糖質制限サミット2016』が品川プリンスホテルメインタワー 17Fで行われ、約250人が参加しました。
ディスカッションテーマ「糖質制限食の今と未来」。糖質制限についての著書も多数輩出されている先生方の貴重な講演とディスカッションが行われました。

6月12日(日)、『「高齢化社会ニッポン」を救う、ドクターが集結! 糖質制限サミット2016』が品川プリンスホテルメインタワー 17Fで行われ、約250人が参加しました。

ディスカッションテーマ「糖質制限食の今と未来」。糖質制限についての著書も多数輩出されている先生方の貴重な講演とディスカッションが行われました。

 

 

パネラーとして、登壇したのは、江部康二先生(一般財団法人 高雄病院理事長・一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長)、白澤卓二先生(一般社団法人日本ファンクショナルダイエット協会(JFDA)理事長・白澤抗加齢医学研究所(株)所長)、南雲吉則先生(ナグモクリニック 総院長)、溝口徹先生(新宿溝口クリニック院長)、宗田哲男先生(宗田マタニティクリニック・院長)の5名。

司会進行は、斎藤糧三先生(一般社団法人 日本ファンクショナルダイエット協会(JFDA) 副理事長(株)日本機能性医学研究所所長)が務めました。

 

サミットは、パネラーの先生方が各10分間の講演を行った後にテーマに沿ってディスカッション行う前半と、糖質制限全般についてディスカッションをし、会場からの質疑応答を受け付ける後半という構成で行われました。

 

糖質制限食の歩み

 

最初に、登壇した江部先生は「糖質制限食の歩み」について糖質制限全体の歴史、日本での歴史について解説しました。

 

日本では、大正時代に最先端の糖尿病食事療法として「厳重食」というスーパー糖質制限食が行われていたそうです。あの夏目漱石も糖尿病患者で、「厳重食」によって、糖尿病と糖尿病神経障害は改善したものの、後に胃潰瘍で亡くなりました。

 

その後、1969年に発行された「食品交換表」第2版以降は「カロリー制限食」が開始され、糖質制限の考え方に基づいた食事療法は日本では凍結してしまいました。しかし、1999年以降江部先生の実兄、江部洋一郎先生や、釜池豊秋先生が糖質制限食の臨床実践を行い、、糖質制限食は復活したとのことです。

 

現在では、関連の一般書の普及により、糖質制限食は広く知れ渡っています。さらに、医学界でも2012年の第15回日本病態栄養学会年次学術集会のディベート「糖尿病治療に糖質制限食は是か?非か?」を転換に、米国糖尿病学会(ADA)での投資規制現職の容認や、宗田先生らの研究でケトン体の安全性が確認されたことで、糖質制限食は今いよいよ加速している状況にある、と述べました。

 

 

がんと糖質制限食

 

2番目に登壇した南雲先生の講演テーマは「がんと糖質制限食」。

 

南雲先生は、60年前には日本に胃がん以外のがんはなかったこと、この30年間でがんの患者数が倍に増えている推移を解説。減少傾向にあるがんは感染症によるもの、増加傾向にあるがんはホルモンに影響するものやたばこの煙によるものとし、がんの原因の4分3に当てはまる要因を正しく対処することで、30年間で倍になったがん死亡率に歯止めをかけられるのではないかという見解を述べました。

 

また、タバコ意外の最大の発がん因子は食生活であるとし、高血圧、高脂血症、高血糖を防ぐ正しい食事の指導や、がんの患者に対する病院食の改善などでの指導が必要であると述べました。

 

妊娠糖尿病と糖質制限

 

宗田先生は、「妊娠糖尿病と糖質制限」について、ご自身のクリニックで提供されている食事の写真などを織り交ぜながら、講演されました。

 

宗田先生は、妊娠してから糖尿病になる妊娠糖尿病の仕組みを解説したうえで、現在行われているカロリーを制限している治療法では血糖値をコントロールできないと言及。

 

現在の見解では妊婦には必須糖質があって、胎児の主要エネルギーは糖質であるとされていることに対し、「たまご(鶏卵)の栄養は、水分を除くと、脂肪とタンパク質が半分ずつで構成されていて、糖質はゼロです。しかし、ヒナが生まれます。つまり、生命が誕生するのには、炭水化物は不要となりますね。これは大変教訓的な話です」という話に、会場からはなるほど、という声があがりました。

 

 

オーソモレキュラーと糖質制限

 

次に国内のオーソモレキュラー治療の第一人者である溝口先生が、「オーソモレキュラーと糖質制限」をテーマに登壇。オーソモレキュラーとは、私たちの体内にある分子の濃度を整えて病気を治すというもので、具体的には、食事への介入とサプリメントの導入で、体質を変えていくもの。その中で、糖質制限食は、糖尿病の指導が中心になりがちのなか、精神疾患の分野でもなくてはならないアプローチであるとしました。

 

溝口先生は、統合失調症の患者には低血糖、糖質代謝トラブルがみられるという研究の紹介、糖を作る回路が上手く機能していないと、脳の疲れ、疲労感、眠りトラブル、抑うつ感が起こるという症例、さらに、ケトジェニックになると、グルタミン酸が減ってGABAが安定する仕組みを解説しました。

 

その後のディスカッションでは、白澤先生からの「仕事で原稿を書いているときに、炭水化物を食べるとテンションは上がるけれど、なかなか捗らない。血中濃度を測ってケトジェニックになると淡々と原稿が書けるようになりますね。その時の脳の状態はどうなっているのでしょうか」という質問に対し、「その淡々さはおそらくケトジェニックで、しっかりとGABAが出ている状態になっていますね」と答えました。

 

 

ケトジェニックダイエットと糖質制限

 

最後の講演は白澤先生で「ケトジェニックダイエットと糖質制限」として統括的なお話をされました。

 

「アメリカでBMI35~40の重症の肥満体型がポツポツとみられ始めたのは、1980年頃からです。しかし、現在、アメリカのBMI30以上の人口は約36%。日本でも、こういった体型はポツポツと見られるようになってきました。このままでは今から30年後、東京でもBMI30以上の人をそこら中で見るようになるかもしれません」と、警鐘を鳴らしました。

 

またこのような歴史の背景には、20世紀後半にアメリカで、精製糖、コーンシロップ、精製された小麦など、グリセリック指数が高い食品が増えたことがあるとしました。

 

また、人間の狩猟時代、油(脂質)を燃やして動いていたこと、人間の脳はケトン体を使う方がデフォルトにもかかわらず、現在世の中にはグルコースが出回っているため、うまくケトン体をつかえない回路になりがちであることなど、さまざまな研究を紹介しながら解説しました。

 

 

どこまで厳しい食事制限が必要か

 

6名の先生方が登壇した、ディスカッション・質疑応答の時間では、「どれくらい厳格に糖質制限に臨むべきですか?」と言う質問が挙がりました。この質問に対し、南雲先生は「担がん患者(がんを体内に持っている状態)の場合は、厳格でなければならない」、白澤先生「個人的には1週間に1回はお寿司屋さんに行きますが食べる順番を気にしてまず刺身から食べます。外食をしないのではなく、どういった注文をしたらよいのかという考え方をするべき」、江部先生は「私も、ふぐのコースに行った時は雑炊を少し食べます。一般の健康な方は、野放しに糖質を食べる生活から少し意識を変えるだけでもよいと思います。やらないよりはやった方がよいです」とご自身の体験を交えて回答していました。

 

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