FEATURE-VOL.014

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FEATURE

PHOTO:川島一郎(camp)

2000年シドニーオリンピック女子マラソン金メダリストであり、現役引退後はマラソン解説やイベントなどで幅広く活躍されている高橋尚子さん。現在は、2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会のアスリート委員会委員長としても、多忙な日々を送られています。そんな高橋さんに、健康の維持やランニングを続けるためのアドバイス、東京オリンピック・パラリンピックに向けた決意などをうかがいました。


走れない自分を責めない

 

――ランニングについてもお尋ねしたいのですが、けがをせずランニングを続けるために、どのようなことに気をつければよいでしょうか。

 

自分に合ったシューズを選ぶことと、走る前にしっかり準備体操をすること、この2点は最低限、皆さんに知っていただきたいと思います。

 

新しく走り始めよう、ちょっとブランクがあったけどまた走ろうという人が、昔履いていた運動靴をシューズボックスから出して使うのが一番危険です。なぜかというと、靴底のゴムの部分は時間が経つにつれて、だんだん硬くなってしまうからです。底がちょっと厚めの、クッション性のある靴を新調しましょう。それが1点。

 

もう1点は、走る前に「ここを今から使うよ」とイメージしながら膝の準備体操をすることです。具体的には、片足を1歩前に出して、足の裏はどこも浮かさずに、前に出したほうの膝の内側、前、外側へと順に体重をかけながら、太極拳のようにゆっくり回します。それを5回。逆回しも5回。さらに、もう片方の膝も同様にして回します。こうして膝まわりの筋肉に刺激を入れて起こしておくと、筋肉がバネの役割をして、着地の衝撃から膝を守ってくれます。時間が空いたからといって急に走り始めると、その辺りの筋肉がまだ寝ているので大変危険です。

 

――体型の維持やダイエットのために走る女性へのアドバイスや、女性ならではの気をつけるポイントはありますか。

 

走ったあとのケアもしっかりしてください。お風呂の中で自分の気になっているところを少しマッサージすることによって、血液の循環がよくなって、疲労回復に加えてスタイルもよくなっていきます。

 

身体が循環するように、汗として出たものをしっかりと食事で補ってあげることも大切です。特に女性は貧血対策をしっかり行っていただきたいです。走り終わったあとに体重が減っているとうれしくなって、もったいない気持ちから食べることを控えてしまうことがあると思いますが、そうすると身体の中のサイクルが滞って、便秘などの不調につながる場合もありますので気をつけましょう。

 

 

 

――健康維持のためにランニングを始めたものの、続かなかったという人へは、どのようなアドバイスがありますか。

 

「よし、やるぞ」と意気込んで走り始めたものの、3日目ぐらいに走れなかったとすると、「ああ、今日は走れなかった」と自分を責めてしまう人が多いと思います。でも、週に1回、外へ出るだけでも以前の生活と違うわけですから、身体はそれをしっかりと刺激として受け取っているはずです。1回でも2回でも変化があることに喜びをもって、外へ出た自分をほめてください。

 

仕事が忙しくなったり、何かの都合で走らない期間ができてしまっても、やる気持ちだけは忘れないでおいて、また走れるときに走ったらいいんです。そうやってまた走り始めると、前に走ったときと違うものが得られると思うので、何度でもまた新たな気持ちで外に出てもらえればいいと思います。

 

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