VOL.001 春が来る前に知っておきたい「上火」による肌トラブル

VOL.001 春が来る前に知っておきたい「上火」による肌トラブル

BEAUTY - 本場の中医師が語る! 美容トラブル対策法

東洋医学の美容法として美容鍼はとっておき。では、日常のちょっとした習慣でも東洋医学を活用して、美容に役立てることはできるのでしょうか。本コーナーでは、東洋医学のエキスパートである中国医師になり、中医学の博士号を取得した藤田康介先生に東洋医学の美容トラブル対策をうかがいます。第1回は、これから春を迎えるに当たって気をつけたい肌トラブルについてです。

春が来る前に知っておきたい「上火」とは?

 

 

冬から春にかけて、お肌のトラブルで来られる患者さんが増える傾向にあります。その代表的な症状が、中国語でよく言われる「上火(じょうか)」という言葉。もともと中医学でよく使われますが、今ではすっかり一般化してしまった印象です。

 

 

「上火」というのは、陰陽バランスが崩れて、体内の陽が盛んになり、それが身体に出現する様々な症状を指します。たとえば、顔や頭皮に吹き出物がでたり、便秘になったり、鼻血が出やすかったり、歯茎が出血したり、口内炎ができたりします。イライラしたり、怒りやすかったりすることもあるでしょう。

 

 

 

 

「上火」の原因は?

 

 

中医学では、四季の変化と体調との関係を重視しますが、一般に冬は寒さに対応するために体の中に陽気を溜め込みます。そのため、春先になるとその陽気が外へ発散しようとします。自然界でも春の到来とともに陽気が盛んになるため、ちょっとしたきっかけで陽気が過剰になってしまいます。

 

 

とはいえ、日常生活の中にも「上火」と関係するよくない習慣は、たくさんあります。

 

 

その一つが、不摂生な生活。特に睡眠不足や夜更かし、さらに暴飲暴食なんかもそうです。情緒が不安定であったり、ストレスがたまったりすると「上火」しやすくなります。これらは気候の変化とは関係なく、身体の中から発生する「火」が原因で、肌のトラブルだけでなく、身体全体への影響も大きくなります。特に、夜ふかしがちになりやすい現代人の生活では、睡眠時間の確保は急務ではないでしょうか。

 

 

「上火」にはその性質によって胃火・肝火・心火・肺火などに分類され、それによって症状が微妙に違います。下の表に各症状と対策をまとめました。

 

 

chui001_02

 

 

 
一般的に、辛い物や揚げ物、油っぽいもの、味の濃い物、甘い物も「上火」の原因になりやすいです。さらに、身体によいなどの理由で温野菜ばかり食べるのも考えものです。人の身体は常に温めればいいというわけではなく、要は陰と陽のバランスを取ることが大切なのです。

 

 

 
chui001_01
辛い物といえば、四川料理が有名ですが、それは四川省の気候風土に合った食べ方。しかし、さすがに四川人も食べ過ぎれば「上火」してしまいます。バランスが大事なのです

 

 

 

 

気温の変化に合わせて、食を見直してみては?

 

 

それでは、どのように「上火」対策をすればいいのでしょうか?
基本的に睡眠時間を改善するなど日常生活の問題以外にも、食べものに関する注意点もいろいろあります。

 

 

まずは繰り返しますが、暴飲暴食をさけること。また、日頃から常温の水を飲むように心がけてください。冷たい水や熱すぎる水は避けたほうがよいとされています。

 

 

そして、熱を冷ます食材をうまく活用することが大切です。代表的なのが葉物の野菜、キュウリ・苦瓜などの瓜類、緑茶・菊茶・ドクダミなどがよく使われます。また、白菜・梨・百合根・枇杷・レンコンなども涼性の食材としてお馴染みですね(辛い料理で有名な四川料理では、おかずとしてドクダミが使われますが、納得です)。一方で、唐辛子やラム肉、牛肉、海鮮の蝦類、スパイシーなものなどは控えるようにします。お酒も「上火」しやすいものなので注意が必要です。

 

 

このように、肌の問題を解決するために、単に肌の様子に注意するだけではなく、まずは体全体の調子を整えなければならず、そのために食から生活全般に関して見直す必要があるのです。

 

 

 

 

【著者紹介】

 

藤田康介(ふじた・こうすけ)
chui001_03

1974年、大阪府生まれ。1996年より上海在住。上海中医薬大学医学部入学後、同大学院博士課程修了、2005年に中国医師国家試験に合格。2008年に中医学の博士号(中医内科学専攻)を取得、2016年7月に中医内科学の主治医師資格に合格。上海中医薬大学附属竜華医院・上海徐匯区中心医院・上海鼎瀚中医クリニックを経て、現在は上海東和クリニック中医科で医師として臨床活動中。中国の永住権を取得した数少ない日本人の一人。上海甘霖健康管理諮詢有限公司董事長。共訳著に『標準・中医内科学』(東洋学術出版社)など。