ASK EXPERTS – VOL.004 藪崎篤子

ASK EXPERTS – VOL.004 藪崎篤子

ASK EXPERTS

PHOTO:樋口圭一郎

女性が安心して治療を受けられる鍼灸院があります。第4回となる今回は、群馬県で女性専用鍼灸サロンRiccaを開業している、藪崎篤子先生に話をうかがいました。Riccaには、不妊症を始めに婦人科疾患の患者さんが多く訪れるそうです。そこで、冷え体質を改善させるセルフ灸の方法などを含めて、どんな治療や患者アドバイスを行っているのかを聞いてきました。

ピンクで女性らしい内装

 

 

──女性専門の鍼灸院とのことですが、内装も女性らしい印象を受けます。

 

内装を考えるときに参考にしたのが、ホテルの空間づくりです。「日常生活を送る家とは違う雰囲気だけど、緊張しないでリラックスできるのはどんな空間だろう」と、考えたときに、ホテルのイメージがぴったり来たんです。なるべくホテルのような雰囲気に近づけられるように、照明から壁紙までこだわりました。ホームページで院内の様子を見て、素敵なところだと思いましたと、来て下さる患者さんも多いです。

 

 

──待合室には良い香りが漂っていますね。

 

初めていらっしゃる患者さんが緊張しないよう、待合室にも気を配りました。アロマディフューザーで季節に応じた香りを出したり、観葉植物や花をディスプレイしたり……。患者さんから「ここに来るとリラックスできます」と言われるのが、とても嬉しいです。

 

 

扉を開けると、ホテルのロビーのようなリラックス空間が広がる

扉を開けると、ホテルのロビーのようなリラックス空間が広がる

 

待合室には心地よいアロマの香りが漂う

待合室には心地よいアロマの香りが漂う

 

 

 

女性専用だから安心して相談できる

 

 

――女性専門の鍼灸院にした理由を教えてください。

 

婦人科系の不調で悩む女性に、できるだけ気軽に悩みを相談していただきたかったのが一番の理由です。最近は不妊治療の患者さんの割合が多くなりました。ブログでも不妊について書くことが増えましたね。

 

 

――子どもができずに悩んでいる女性がそれだけ多いんですね。

 

ご相談が多くて私も最初は驚きました。お子さんに恵まれず、不妊専門の病院にいくつも通い、何度も体外受精をしてもなかなか結果が出ない方、その前の段階で問題があり何年も悩んでいる方が、体の不調を改善したいと多く来院されます。病院での治療と併用して受けている方がほとんどなので、心と体を温め、西洋医学の治療の結果が出やすいよう体質改善を鍼灸で行っていきます。

 

 

――確かに、不妊の悩みは男性に聞かれたくないかもしれません。

 

不妊症を始めに婦人科系疾患のお話は、男性どころか、同性の親友にすら相談しにくいほどデリケートなものですから……。施術する鍼灸師も全員女性なので、今まで誰にも言えずに悩んでいた方でも、周囲に同性しかおらず、しかも完全予約制のプライベートな空間であれば、気軽に相談していただけるのではないかと思います。

 

 

――女性同士だと、生理痛など女性特有の苦しみにも寄り添いやすいですよね。

 

あとは、男性を前にするときほど身だしなみを気にしなくていいというメリットもあります。当院では、美容鍼灸も行っていますが、女性しかいないので、家からメイクを落としてそのまま自家用車で、ルームウェアでいらっしゃる患者さんもいます。  

 

治療を受ける部屋も女性らしくて可愛い。強い色彩は避けて、内装は白をベースに、薄いピンクやグリーンを用いたとのこと

治療を受ける部屋も女性らしくて可愛い。強い色彩は避けて、内装は白をベースに、薄いピンクやグリーンを用いたとのこと

 

 

 

不妊と身体の冷えの関係

 

 

──不妊症の患者さんに何か共通点はありますか。

 

不妊症の施術を受けられる患者さんの身体に目立って多いのは、身体の冷えです。私は、不妊症を起こす原因の一つが、冷えなのではないかと考えています。冷えを自覚していない患者さんも、私がお腹や腰のあたりを触診すると、自分の身体より私の手が温かく感じることから、冷えに気づくことがあります。まずは、自分の身体の状態にきちんと気づくこと。それが、不妊症だけでなく、あらゆる不調を改善する第一歩です。

 

 

──鍼や灸で、どのような効果があるのでしょうか。

 

鍼灸治療では、腰の温度を上げることによって、骨盤近辺の血のめぐりを整え子宮や卵巣への血行を促します。また、不妊の患者さんは精神的ストレスを抱えていることがほとんどですので、妊娠に必要なホルモンが正常に分泌されにくくなっています。そのため、上に昇った熱冷まし頭痛や肩こりなど余分な緊張をほぐし、ぐっすり眠れるように働きかけます。十分な睡眠がとれれば、卵子の質や成熟に関係しているメラトニントという卵子の質や成熟を向上させるホルモンの分泌が盛んになります。質の良い卵が作られるためには、適度な規則正しい睡眠が大切です。

 

 

──睡眠の量など生活改善も治療に含まれてくるのですね。食事についてはいかがでしょうか。

 

生ものは身体を冷やすといわれているので、日が出ているうちに食べるように伝えています。日が沈んだら、身体も「陰」に変わりますからね。野菜も食べるならば、火を通した根野菜が冷えを防ぎます。また、不妊の方はたんぱく質をとったほうがよいので、吸収がよくなるように、植物性のタンパク質と動物性のタンパク質の両方を一緒にとってもらえればと思います。例えば、お豆腐を1つ食べるにも、そこに鰹節をプラスするといった具合に、少し意識してもらうだけでも違ってくると思います。

 

治療院オリジナルのペンダント。治療院名「Ricca」は雪の結晶を「六花」(りっか)と呼ぶことから、「一つとして同じ形のない雪の結晶のように、同じ症状でも身体の反応の違う患者さんそれぞれに合った治療を提供したい」という思いを込めてつけられたもの

治療院オリジナルのペンダント。治療院名「Ricca」は雪の結晶を「六花」(りっか)と呼ぶことから、「一つとして同じ形のない雪の結晶のように、同じ症状でも身体の反応の違う患者さんそれぞれに合った治療を提供したい」という思いを込めてつけられたもの

 

 

 

セルフ灸で冷えを改善させよう

 

 

──自宅で自分でもできるような方法で、体質を改善させることはできますか。

 

不妊症に限らず、女性の大敵は冷えなので、自宅での「セルフお灸」がおすすめです。最近は「お灸女子」という取り上げ方もされるようになって、薬局でも手に入れやすくなってきていますよね。生活の中で意識的に身体を温める習慣がついてくると、ご自身の身体の冷えにも気づきやすくなるものです。ご希望の方には、お灸の方法を説明した紙をお渡しして、足やお腹など自分で置きやすい部分に印をつけています。また背中や腰のお灸をご主人にもお願いしています。どうしても、不妊治療は奥様が頑張らなくてはいけない割合が大きいので、ご主人に奥様の身体をいたわっていただき、向き合う時間を作ってもらいます。

 

──暖房器具で身体を温めるのと、お灸を使うのとは何か違いがあるのでしょうか。

 

「頭寒足熱」という言葉があるように、むやみに身体全体を温かくしてもあまり効果があがりません。お灸ならば、最適な部分を集中して温めることにより、効率的に冷えを解消することができます。

 

 

──お灸以外に、冷えを改善させる方法は何かありますか。

 

入浴では、下半身はまだ温めきれていないのに、上半身がのぼせて、湯船から上がってしまう、ということが結構あります。そうならないためのコツがあります。まず、上着を着たまま浴槽の縁に腰をかけて、足だけをお湯で温めます。すると身体全体が温まってくるので、それから改めてお風呂に入りましょう。そうすると、お風呂から出た後も身体が冷めにくくなります。

 

不調を根本から改善するために大事なポイントは、規則正しい生活と日々のケアです。そういったお話も、施術後に患者さんとお話しするようにしています。

 

 

手足ならば、自分でも灸を行いやすい。写真のツボは内関。ストレス緩和・リラックス効果があり、人工受精・体外受精前後などに最適だという

手足ならば、自分でも灸を行いやすい。写真のツボは内関。ストレス緩和・リラックス効果があり、人工受精・体外受精前後などに最適だという

 

 

患者さんの笑顔がなによりも嬉しい

 

 

───治療家として、どんなときに、やりがいを感じますか。

 

患者さんの不調が改善してきて笑顔が増えていく姿がみれると鍼灸師になってよかったと思います。特に開院してから初めて不妊症に悩んでいた患者さんが妊娠され、超音波のお写真を見せていただいたときは、本当に感動しました。その後も、出産まで鍼灸でサポートさせていただき、元気な赤ちゃんのお顔を見た時はとってもいとおしく幸せになりました。

 

 

──最後に今後の活動について教えてください。

 

義父が東京で鍼灸院を営んでいたことがあり、その場所をリニューアルして分院を東京に開こうと計画しています。もちろんこちらも、引き続き本院として営業していきます。これからも私にできる精一杯の誠意で、患者さんと向き合っていきます。鍼灸で女性が元気になることで、家族や周囲の人に笑顔がどんどん広がって欲しいです。

 

 

 

【施設紹介】

 askexpert04_007

女性専用鍼灸サロンRicca http://ricca.jp/

 

「鍼灸で女性に笑顔と元気を」を基本理念として、それぞれの患者に合せた全身治療によって、年齢やホルモンの変化に対応できる身体をつくっていく。特に月経不順やPMSなど女性ホルモンの異常、不妊症などに悩む患者が多く訪れる。また美容鍼灸にも力をいれている。原則として女性患者のみで完全予約制。

 

〒370-0018 群馬県高崎市新保町251

TEL   027-386-6789